■ 八代市厚生会館 |
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| ■ 自律的な外部空間の獲得を目指す芦原の建築手法 |
| 栗田勇 『現代日本建築家全集(1971) 或る優しさ』より |
自律的な外部空間の獲得を目指す芦原の建築手法が、ここでは殆どそれと意識されないほどしっくりと周囲の環境に溶けあい、おちついた雰囲気がつくり出されている。苔むした八代城趾の石垣と蓮の生い茂る濠、周囲の緑などが、芦原が外部空間に対して要求する建築とのコネクター的な役割以上のものを提供しており、彼はこれらを存分に利用しながら、石垣と対抗しうるような新しいランドマークの創造を目指したのであった。 |
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| ■ 音響的空間は構造空間とかならずしも一致させる必要はない |
| 芦原義信 『新建築(1962-9) 設計によせて』より |
われわれが、八代市厚生会館の設計の機会に恵まれたとき、オーディトリアムの空間をいかにしてつくるか、ということを考えた。何回かのディスカッションの結果、次のような結論をえた。精度の高い音響的空間は構造空間とかならずしも一致させる必要はない。とくにオーディトリアムには側廊をとる必要から、構造の内側をそのまま内部の空間とすることは困難である。そのため、4m間隔の薄べったい柱により縦の線を強調し、外部空間へのリズムとし、横方向のつなぎとして、柱と梁との接合部に大きな傾斜のあるつなぎ梁をいれることにしてみた。南九州の強烈な陽ざしをうけて、光と陰が、折版構造のよりもさらに強く変化をあたえてくれるだろうという期待もあった。 |
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| ■ ブロックプラン |
| 『建築文化(1962-9) 八代市厚生会館設計の覚えがき』より |
われわれがこの設計でまず考えたことは、単なる一つの建物としてまとめるだけでなく、この付近に市民のコアをつくることであった。そのためには風致公園全体として敷地を把握する必要があった。 建物全体を与えられた敷地の南側によせ、北側に前庭をとれば、建物は公園全体の一隅を仕切る形となり、庭園部分の広がりは切断されずにすむばかりでなく、八代城趾の最も美しい眺めは建物でさえぎられることもなくなる。いやむしろ、厚生会館のあちこちの室から、この美しい眺めをさらに視点の高さを変えて満喫することすらできる。 |
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