■ 東京大学御殿下記念館
■ 地下体育館の提案
『新建築(1993) 東京大学御殿下記念館 <芦原義信>』より抜粋
  この施設は大学の学生や教職員の健康増進のため計画された体育施設で、当初農学部の敷地に計画されたが、全体のキャンパスから遠いので、なんとか中心部に建設できないかと考えた。ニューヨークのコロンビア大学の地下に大規模な地下体育館があるときいたので、早速、それを視察に行った。
  これはフィジカル・フィットネス・センターといわれ、大勢の学生や教職員が泳いだり、ジョギングしていたり、球技をしていた。東京もニューヨークも敷地がなかなか得難いので、この御殿下の体育施設を提案したのである。
■ 辰野金吾の設計を継承する
『新建築(1993) 付属屋の保存再利用とモール <大田純穂>』より抜粋
  旧御殿下グラウンドの北縁と東側の一部に、グラウンドの土留めを兼ねた半地下式の付属屋(設計:内田祥三、昭和8年完成)があった。この建物の道路に面した入口には本郷キャンパスでよくみかける尖頭アーチが使われており、北東隅の三連アーチの柱頭は、明治期辰野金吾が設計した工部大学校に使われていたものを内田祥三が移設再使用したといわれている。<・・・>この付属屋の立面を保存し、周辺の景観を継承していくことにした。
  付属屋は立面を利用するだけでなく内部も積極的に改修、再利用した、半地下式の付属屋の床面は道路面より約2m下がっており、従来は北側道路より階段を使って利用していたが、今回の計画では、北側入口をふさぎニッチとし、アプローチ方向を反転して南側に出入口を設けた。すなわち、道路面より約2.1m下がったレベルにオープンモールを設け、従来地下であった南壁をうがちモールから出入する。モール沿いは、付属屋に沿って2mほどの増築部を設け、モールの新しい立面とした。