■ 日光ユースホステル
■ 日本ではじめてつくられたユースホステルのひとつ
栗田勇 『現代日本建築家全集(1971) 再生を期して』より
  日本ではじめてつくられたユースホステルのひとつとして、そのプランニングが後の多くのユースホステル建築の基本型とされた、歴史的なものである。密生した杉の木立を背に、大谷川の流れを前にしたこの建物は、屋根の幕板の長い水平感や腰壁のラフな玉石積みなどからする印象は、ブロイヤーあたりから影響をうけたものであろう。きめの細かい床レベルの変化や、寝室南面の玉石積ヴェランダに木の可動水平ルーバーをとりつけるなど、ブロィヤーの住宅にみられるような手法が採用されているのも、そうした印象を裏付ける。
■ ユースホステルの平面計画
守屋秀夫 『建築文化 (1959-10) ユース・ホステルの計画について』より
  ユースホステルの平面は、大きく三つに分けて、食堂等の共用部分のブロックと男女の各寝室ブロックとから成立つとみてよいだろう。食堂や集会室は庭や周囲の景色への拡がりをもった開放的な感じがいいだろうが、寝室部分は一応プライバシーの保てる、どちらかといえば閉鎖的な空間が要求される。日光では、共用部分のRC造に対して寝室部分をブロック造とし、両者の性格の相違を表現的にも明確に分けて変化を求めた。